秋になると、うちの作りびとは、そわそわとし始めます。
正確にいうと、栗が出始める頃から。
そう、我が家の風物詩、「栗の渋皮煮」作りのためです。
相方の渋皮煮は絶品中の絶品です!
かつて、「風の家」というカフェをやっていた時、
コーヒーに添えて、相方の作った渋皮煮を一つ、小さなお皿に乗せてサービスとして出していました。
そんな中、一人のお客様がわざわざ厨房まで来られて、
「こんな美味しい渋皮煮は食べたことがありません。お金を払いますので、少し譲っていただかませんか?」とまで、言って下さいました。
お金は受け取らず、小瓶に少し入れて差し上げると、
今度はご丁寧に礼状が届き、「これは和風マロングラッセです!」とまたまた絶賛!
そこまで言われるほど美味しいのには秘訣があります。
ラム酒と一緒に煮るから
…だけじゃないんだな、これが。
美味しさの秘密は他にも。
それは丁寧な手仕事です。
相方の作る過程を側で見ていると、
ものすごーく手間も,時間もかけた丁寧な手仕事だとわかります。
湯がいた栗を傷つけず、一個一個鬼皮を剥いていく
一個一個洗って、渋皮の汚れを取ってはまた洗いの作業。
苦味を無くしては、また湯がく。
そしてラム酒と砂糖や、相方が毎年研究を重ねた結果の配合の味付けでコトコト煮る
合計、5回湯がくとか。。
日頃のめんどくさがり屋からは考えられない作業です。
そんな手間ひま時間をかけたできあがりを
わたしは秒で食べてしまいますが(^^;
今年は、3回も作りました。
友だちにあげ、うちに訪れた人に出し、東京の兄たちにも
毎年送ります。
その兄一家に送るために今回はベーグルも
作っている時は、自分の世界に入っています。
タブレット横に置いて、何か聴きながらの作業
成形して、湯がいてオーブンへ
こんがり、香ばしくできあがり
出来立てほやほやを一番に頂くのはもちろんわたし
できたてはバターもいらず、トーストもせず、ほくほく。チーズと合います(^^)v
他の人がどんなに相方のレシピを聞いても、同じように作っても、栗もベーグルも同じ味は出ないと思います。
老舗の店の料理人が辞めたあと、引き継いだ店が決して同じ味ではないように、
作るモノも、その人が費やしてきた時間、気持ち、塩梅、など、すべてのエネルギーが、味付けされて出来上がったものだから、一つとして同じ味はできないのだと思います。
相方は何を作る時も、職人になります。
なので、大工仕事もよく頼みます。
自らの意思で作る時は夢中になるけど、わたしから頼まれると、すごいめんどくさがって拒否る。
けど、作り人になったとたん、真剣になり、きちんと丁寧に作る。
わたしのテキトーさとは段違いでして…
今回は以前から付けたかった引き出しの取っ手を付けてもらうことに
引き出しと言っても、ボックス棚にわたしがテキトーに色を塗った木箱を、入れ込んだだけのモノ(不思議にジャストフィット!)。
そこに取っ手があればいいのになあ、と探していたら、先日入った雑貨屋さんにピッタリのがあったので付けてもらうことに。
ネジ差し込むだけだから、わたしでもできるんだけど、見た目「きれいに」「きちんと」できない。
なんせテキトークィーン ですから(笑)
相方は言わずともキチンと測り、センターを決めてネジを差し込む。
するとネジが長かったよう。
大して支障がないので、
「大丈夫っちゃ、これでいいっちゃ!」というわたしの言葉も聞かず、引き出すときケガするといけないやろ、と丁寧に補修までやってくれました。
内側に「くっつきむし」とテープを貼って
じゃん!完成!
ワインの木箱にペンキ塗って嵌め込んだだけとは思えない引き出しができました。
今年は、このあと、作りびとさんはもう一仕事が残っています。
その時に備えて、良いラムをお取り寄せし、ドライフルーツを漬け込んで保存しています。
そう、長期出張から帰宅した際、クリスマス用のシュトーレン作りが始まりそうです。