田舎の使い方

先日、住宅雑誌の取材で、築70年の古民家をリフォームして住んでいる家族を取材した。
こんな山奥にかよ?と思うほどの奥だったが、家が近付くにつれて、秋が深まった畑や木立の風景の穏やかなことと言ったら!
そんなのどかな村の中にあったお宅を拝見すると、みごとに古民家をおしゃれに、創造的に暮らしていらっしゃる。
まあ、今、流行りと言えば流行りの、日本のターシャか、京都のベニシアさん、古くは浜ミエのような…暮らし方? 
そういう奥様たちって最近、増えていると思う。
これは、「田舎に生きる」というのとは少しちがうような気がする。
彼女たちは、都市と田舎を上手に使い分けているようなのだ。田舎にどっぷりハマるというよりも、あくまでもおしゃれに、文化的に、そしてエコに。これが大前提だ。古いものをセンスよく活かし、ハーブや野菜を育て、地域のおばあちゃんたちとも上手にお付き合いをしている。
そこに田舎があったから。そこに古民家があったから。
そう、手つかずのままの田舎や古民家が、そこに在るだけで、彼女たち(家族たち?)が発見し、彼女たちがやって来たのだ。
あとは、彼女たち流で田舎を使いこなしている。
これからの田舎の在り方ってこうゆうんでいいんじゃないかな?って思う。
この取材の行き道で、デザイナーとカメラマンが、ムラの活性化とか、町を元気にという、そういう町おこしはもうやめんかなーと話し合っていた。デザイナーS氏は、「ぼくにとっての田舎は元気がなくても、静かでもいいけどなあ…」とつぶやく。
あまりにもらしいことばに笑いそうになったけど、実はわたしもそう思う。
これって、田舎にハンパに住む者のものすごく勝手な言いぐさかもしれないけど、ハンパに住んでいるから見えることがあるのも真実だと思う。
都会は簡単に作れても、田舎はもう、作れないのよ。無くなるばっかだからね。
そこを元気に活性化するのは、一重に経済的な理由だろうと思う。さらに高齢化の問題ね。
行政は必至に都会人(特に団塊世代)に向けて「田舎暮らし」をすすめ、あの手この手で人口を増やそうとしている。たとえば「移住しないと民家を売らない」など、そんなセコイことを言わずに、田舎を田舎のままで、そっとしておけば、こころの豊かさを求める人は、自然に田舎をめざすんじゃないだろうか? 
そのためにすることは、まず、風通しをよくしておくべきだと思う。イベントしたりするんじゃなくね、古い空き家を行政が買い取り、週末ハウスとして貸し出したり、釣り人や山登りの人たちのゲストハウスにしたりとかね。食事欲しい人は隣のばあちゃんちでしてください、とか(笑)?
あんまりキアイいれずに田舎が使えれば、波長の会う人は来るんじゃないかなあ?一人来れば、家族や友人がくっついて来るものだし。
そこに住む人が(たとえ、私らのようなハンパな住み方でも)なんか楽しいことをしていれば、人は何もなくても来てくれるものなんだ。
それを私はこの一年以上の二住生活で経験し、確信した。
で、2年目の冬を迎える今、そろそろブログも私的ネタを卒業し、せっかくのハンパな田舎くらしから得た「田舎の使い方」の情報を流していこうと思う。
いずれ、なんらかのかたちになるための、まあ記録のようなもの?かな。




(にわかガーデニング作ったりして)