スピリチュアルの商品化

以前、友人から紹介されて会ったYさんは、もう私の周りでは珍しくもないが、バリバリの霊能力者だ。
子供の頃から見たくもないものを見てきたり、感じたりして、良くも悪くもさまざまに霊感が働くらしい。
そういう人がその能力を生かす仕事となると、やはり、スピリチュアル系の占いやカウンセラーだったり、マッサージやアロマといったヒーリング系だったりすることが多い。
だけど、Yさんの能力はそれだけではない。オタクと言っていいほどコンピュータに強い。その上、常に体の中から音楽が生まれてくる人らしい。
PCのインストラクターやHP作成などをしながら、コンピュータと組み合わせて、独自の世界を表現することをライフワークとしてきたようだ。
そのYさんに久々お会いしたのだが、「今、命を賭けている人生最後の仕事」を友人と共に立ち上げているという。
その話を聞かせてもらい、できたてホヤホヤのパンフの元原稿も見せていただいた。
その企業とは、一言で言えば「幸せになるモノづくり」だ。
例えば、ある商品を開発するとする。例えて、炭酸飲料だとしよう。
その飲料を売り出すためには広告を打つ。ポスターやパッケージや、CMなどなど…さまざまだ。以前は、それをプランナーやデザイナーに任せていた。
クライアントは金は出すだけで(まあ、口も出すだろうが…)、基本はコンセプトうんぬんの企画書や、デザイナーの感覚に任せるしかない。これが当たることもあり、コケることもあった。
だが、このY氏と友人は、その基本にスピリチュアルを活用する。
なんだかわからないけど、Aの商品より、Bの商品の方に魅かれるというあいまいさ。これをスピリチュアルの言葉に直すと「オーラ」や「気」の力が強いかららしい。
モノには、売れる色があり、安心する形があり、癒される色があり、エネルギーを感じる力などがあるのだそうだ。
このピンポイントを外さなければ、商品はまちがいなく売れるのである。
しかも、使っていてなんだか「気持ちいい」や「幸せ」を感じてくるものばかりが世に出ることになる。
それを生活に使えば、なんとなく、ほっこりと幸せになってくる、と言うわけだ。
もちろん、商品開発とはそれを前提にやっているのだろうが、彼らには科学とスピリチュアルの面からの、キチンとした裏づけがあるのだそうだ。
売りは商品だけでなく、HP作成から、CM、ビデオ制作から、土地の方角(しかも現代風水学に基づいた)や、部屋の位置まで相談に乗る。つまり、生活に関わるすべてにおいての、コンサルタント業だ。
科学的裏づけは、あくまでもこじつけに近いものらしく、大切なのは「なんとなく気持ちいい」というファジーな感覚、大袈裟に言えば魂からの声を商品化することである。
これは、もう精神世界と物質界の融合としか言いようがない。
その話を聞いたとき、「あ、キたな」と感じた。
そう遠くない過去に、健康は産業になるね、と東京でビジネスをやっている友人と話したことがある。その少し後に、「次はスピリチュアルが産業になるな」と感じた。
もう、というか、やっとこうゆう時代なのである。
私が担当している新聞も、「気持ちいいこと」を選択した人の紹介である。生き方をレクチャーする前に、実践を見せた方がいい。
そう思って投げたボールが見事にハマってくれた。
これも、時代なのだと思う。
もうすぐかかる次の大仕事。これもまた大地から生まれたスピリチュアルの本だ。
表面に見える世界は物騒だけど、水面下では(もしかして私の周りだけ?)、静かにスピリチュアル革命は進行している気がする。
おもしろい時代になりそうな予感がする。