日曜日の言葉

         

「なずな農園」の親方、そう、あの静かなベストセラー「ニンジンから宇宙へ」の著者赤峰勝人氏の問答塾に出席した。
久々出席すると、まあ驚いたこと!
遠くは新潟から、京都から、福岡、佐賀などから、部屋に入りきれないほど入っているではないか。
アトピーで悩んでいる人、被災地から避難してきた人、農業を始めた人など、さまざま。
つい先日68歳になったという赤峰氏。
農業を始めて今年でちょうど50年、無農薬、無化学野菜の農法を始めて30年になるのだという。
ますますパワーアップしていながらも、ますます穏やかに丸〜くなっている。その中での話し。
今回の地震で大混乱が続いている日本。かつて戦争が起き、原爆が2つも落とされた戦争で焼け野原となったけど、リッパに立ち直り素晴らしい繁栄をしたのだから、きっと日本は今回も復興すると誰もが思っているだろう。
だけど、その復興は、どれだけの農家を犠牲にしてきたことか、考えたことがあるだろうか?
当時の日本は6割以上が専業農家で自給自足をしていたが、農業は貧しいものだ、経済を発展させて豊かな農村を作ろうという考えが浸透し、若者は農業を嫌い、都会に出ていくようになった。残された農家に渡されたのは、人手がなくても簡単にリッパな作物ができるという触れ込みの、魔法のような化学肥料だ。さらに虫が付けば農薬をまけばいいと教えられる。
その結果、半病人を作り、食べ物は輸入に頼ることになる。
氏は言う。
「ずっと農家で百姓だったが、貧乏などと思ったことは一度もない。農村には何でもあった。野菜も米も味噌も豆腐もなんでも作って自給自足をしていた農家はどんなに豊かだったか。村には一流の職人がいて、職人の生活は農家が見るという美しい助け合いができていた。
戦後からの高度な繁栄は、日本からプロという職人を育たなくさせ、自給自足という豊かな生活と、自力で作り出す力を無くした。放射能は怖いと言うがダイオキシンの方がどれだけ怖いか知っているだろうか。放射能は海に流せば、海は浄化する。土は草が浄化する。どんなに踏みつけられても、自然はすべてを浄化して再生してゆくのです。だけど、自然より経済を中心にして繁栄したこの国に、果たして、まだ、立ち上がれる底力が本当に残っているのだろうか?」と。
『がんばれ、日本!』と国内外から応援コールが起きている中で、今、こんな視点から、自らの言葉を発する人がいるだろうか。
たぶん、わたしは今、こんな「真実(ほんとう)」の声を求めていたのかもしれない。
日本人はドラマが好きだ。
ゼロから立ち上がるという日本の感動のドラマは連日TVのどこかのチャンネルで放送している。
もちろん、描かれるドラマに嘘はないだろう。
だけど、ドラマなどをはるかに越えた、こんな生きた言葉にもまた、耳を傾けるべきだと思わずにはいられなかった。


そして、同じ日曜日のその夜。
7月に行われる「風の家」企画イベントの打ち合わせ食事会が我が家で行われた。
ついでに、翌日誕生日の友人M氏のバースデイパーティも。
「誕生会、サプライズ無用」というM氏の強い希望でサプライズは止めたけど、ケーキあり、プレゼントあり、おまけにおばかな写真大会ありで盛り上がり、結局、打ち合わせは日付を決めただけ。

                      
      (なんだかんだ言ってうれしそうなMさん)

      
     (いつの間にか、肩もみ大会?)

M氏の誕生日の願いごとを尋ねると、
「僕はこんなにしあわせだから、じぶんへの願いごとはありません。願うとしたら、みんなのしあわせです」とニコニコと話す。
今夜、M氏から来たメールには、「ありがとう。みんなにお祝いしてもらって、しあわせななひとときでした」

日曜日、貴重ないい言葉をたくさん贈られた気がする。