幼馴染みの夢

昨日のお昼前、ちょうど出掛ける前だったんだけど

 

突然、幼馴染みのY子から電話がかかってきた。

 

確か、今年のお正月に会ったきり。

 

彼女はわたしより2歳か3歳年上で、わたしが3歳の頃からずーっと付き合っている唯一の幼馴染み。

 

萩尾望都アガサ・クリスティーも彼女から教えてもらった。

注・彼女が先に買った「ポアロシリーズ」の一冊をわたしが先に読んで扉に犯人の名前を書いたという、あの伝説のエピソードの犠牲者だ(爆)

 

若い頃、2人でいるときは、いつもくだらない話しをしながらアガサ・クリスティーのビデオやらを見て、なんとも言えない至福な時間を過ごしていた。

 

彼女は、今、実家の年老いた母を診ながら、実家から1時間先の町に、ウツ病の夫と年老いた義母がいる嫁いだ家を往復しながら、全員を一人で抱えて世話をしている。

そんな状況だから、めったに会う機会はないのだけど、そんな彼女からの突然の電話だった。

 

「ちょっとあんたに伝えておきたいことがあるんよ」

という硬い声にわたしも少し緊張。

もしや、ガンとか余命の告知では?とそんな妄想が一瞬頭をよぎった。

 

けど彼女が言った言葉は、

「わたしには夢がある。叶う叶わないは別として、その夢をあんたに伝えておかなければならない」

 

「は?夢? 」この歳で夢を語る?(笑)

 

その夢とは…

 

「全員がいなくなったあと(つまり夫、義母、実母が死んだあと)、わたしはあんたと暮らすから。

うちの実家か、あんたの実家か、もしくはそこのマンションでも、どこでもいい。K雄さんがいてもいい。あんたと暮らして、あのわたしの人生で一番楽しかった時間をあんたと過ごすから。

それを夢と希望にしてわたしはこれから生きてゆくから!」

と、青年の主張ばりの夢宣言!

 

って…(^^; 

おいおいおいおい…

「その時はあんた100歳になっとるわ! なんでそんな歳まで待つ必要がある⁈ 楽しいことは今やればいいじゃん」

と言うわたしに彼女は即答。

 

「そんなことはとても無理!現実はそんな状況じゃない」

 

私「その現実を作り出したのはあんたやろ?」

 

Y子「そう、その通り」

 

私「自分で作った現実なら自分で変えられるやん。月の1日でもいいから、自分の時間を作りなよ❗️わたしはいつでも付き合う。夢はすぐ叶うやん」

 

それでもY子は、頑なに言い続ける。

「1日わたしの時間なんて、ありえない!そんなのとても無理。わたしが病院に行くのさえ、誰かに頼まなくてはならない」

 

「頼めよーー❗️ 金払ってでも頼め!自分をないがしろにすな!」

このわたしの雄叫びに耳を貸さないY子。

「わたしだけ楽しむなんて、ウツでモラハラ夫がそれを許さない、認知が入った母に他の人は無理…」

と、「無理」のオンパレード!

 

この先、生きてゆくのに、わたしと過ごしたあのお気楽な楽しい時間を再現することだけが、希望なのだ、と。

 

それ、悲しすぎる… (ーー;)

 

人は意識しようがしまいが、自分で選択した通りの現実を作る。

この現実が彼女の望みだとしたら、わたしはもう口を出すこともない。

 

「ちゃんと伝えたからね、どこでもいいからあんたと暮らすんだから、長生きしててよ」と彼女。

 

わたしは答えた。

 

「わかった。掃除はあんたな」

 

とたん、電話の向こうで吹き出す彼女。

幼馴染みから、やっと笑い声がもれた。

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