10月の初旬に、「風の家」では「書と花展」を催します。
その作家である、書家と花人が昨日、初めて「風の家」で初顔合わせしました。
この企画が決まったのは、昨年のこと。
「風の家」の作品展に訪れたお客様の中で、声を掛けてくださった、優しそうな女性と息子さんらしい母子。
プロデューサーNさんから聞いて「風の家」を知ったと言ってらしたけど、話しているうちに、なんともう1人のわたしの知人とも繋がっていて、話が盛り上がったのですが…
そのとき、何気に見せてくださった書のポストカードに、わたしは一目で魅せられてしまいました。
「素直で、まっすぐな書ですねー」と思わず感想を言ったわたしに、嬉しそうに笑いながら
「息子そのままです。そんなふうにしか書けないんです」というお母さんの後ろに、恥ずかしそうな顔をしていた息子さんのYくん。
彼の書でした。
彼は逆子で産まれ、酸素不足のため身体と知的に障害が残ったそうです。
そういうハンデはあっても、彼の生まれながらの性質なのか、お父さんとお母さんの愛を一身に受けているからなのか、とにかく彼はいつもニコニコと笑っていて、何をするのも一生懸命で楽しそう。
施設でのお仕事も、お父さんと習った合気道も、そして14年前に始めた「書」も大好きだそう。
だから、わたしのオファーもご両親ともども、Yくん自身もとても喜んでくれました。
その書に華を添えたいと思ったわたしは、そこに花のコラボを思いつきました。
花刺す人と言ったら、やはりこの方、
花の師匠、M氏でしょう。
氏に企画を話すと、気軽にOKをもらいました。
その顔合わせのため、あちらも作品を持ってくるだろうから、Mさんにも一応軽く花を刺してもらうことにして、朝早くから出発。
すでに枝やら花やらを用意してくれていたM氏ですが、いつものように川の駅にやって可憐な花を物色したあと「風の家」へ。
着くなり、花を置くと、家にも上がらず坂を掃き始めたよ(°_°)
この日蒸し暑くも風が強く、文字通りの「風の家」。今年初めてのミンミンゼミの声が聞こえる中、M氏は、持参した花器の前でさっそく創作にかかりました。
わたしが雑用をこなしている間に、「K子さん、ちょっと見て」とM氏の声が。
床の間に刺した花をみると.…マジか⁉️
すっげえ、❗️
気軽に花活けてもらうつもりだったけど、師匠が本気出してました。
前から見ると1本の花に見える池坊の立花は、さすが!
凛として美しい✨周りの空気まで変わります。
他にも…
爽やかに
ナチュラルに
可愛く
華やかに
この花々にあの生命力のある「書」が加わると、空間がどんな風に生きるのでしょう。
想像しただけで、ワクワクしてきます。
お昼はM氏お手製のお寿司で。
そんなワクワクが最高潮に達したのは、書家のYさんがご両親と一緒に到着したとき。
お互いに、「書家」と「花の師匠」のご対面に少し緊張していたようですが、会うなりM氏が
あっ!という表情を。
「初めまして…じゃないですよね」とM氏。
なんと、内装のお仕事をしているお父さんは、M氏のお店の内装をやっていたらしく、顔見知りだったのです。
これで、一気に打ち解けた全員。
しかも、話していると、Yさんが習った書の先生の息子さんがM氏の友人だったり、他にも知り合いがいたりして…盛り上がることしきり。
もう後は、笑いながらの打ち合わせ。
書を見たり
部屋を見て花々を見て感動するT子さん
最後にみんなで裏山を散策
花の材料、裏山にいっぱいあるじゃん、とM氏ニヤニヤ
いい景色だなあ、と感動するお父さん
縁が縁を呼んで、いい出逢いをして、みんな嬉しそうに笑っていた、この日、この時間。
高揚感の中で、わたしはもうこの作品展の成功を確信しました。
いつの頃かわたしが企画するイベントには、たくさんの人が来ることとか、クオリティが高いとか、売り上げが上がるとか、そういうことより「風の家」を訪れて、作品を見る人には、笑って帰ってもらうことが一番の成功と思うようになりました。
だから主催者側が楽しんで笑っていれば、これはもうすでに成功なんです。
このワクワク感で秋まで楽しんで準備していきます。