アンドラという国をご存知でしょうか?
フランスとスペインの国境にある小さな国です。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/アンドラ)
その国に住むご夫婦が知人のお家に訪ねてきたのです。
その知人とは、わたしが愛してやまなかった、としこさんという92歳で亡くなった女性の息子さんです。
としこさんと知りあったのは、もう20年近く前だろうか。
取材をきっかけに知りあったとしこさんは、元新聞記者らしく、自立していて、文章も絵も書き、最後の最後まで、自由な一人暮らしを好んでいた。
わたしはとても、「おばあちゃん」などと言えず、かと言って苗字で呼びたくもなく、名前で「としこさん」と呼んでいた。
会うなり、彼女はわたしの理想の人だとすぐに思った。
それで、少しでも近づきたくて、いつも追っかけをしていた。
わたしが企画した新聞の取材や、原稿も依頼していたほど。
としこさんもとしこさんの海辺の家も大好きで、友だちのゆうこを連れてよく遊びに行っていた。
そんなとしこさんの縁のもとで、わたしたち夫婦と、ゆうこも一緒に、ドイツ在住の娘さんのHさん、海辺の家に移り住んだTさんご夫妻とともに縁が続いていた。
縁を深めてくれたのは、東欧を旅していたゆうこで、息子のTさんに紹介された、アンドラの国の友だちの家に数年前遊びに行ったのだ。
そのご夫婦が、今回、日本旅行にきた際の食事会に私たちも招かれた。
久々のお招きに相方のベーグルを持参して、懐かしい海辺ね家に伺った。
とても感じのいい、陽気なご夫婦アントニーとカルメンとのご挨拶がすんだあと、アペリティフのシェリー酒とおしゃべりから始まった。
会話は主に英語だったけど、アンドラの公用語はスペイン語だけに、スペイン語を話せる相方も、思い出しながら、英語を交えて会話。
わたしもちびっとのスペイン語や、雰囲気などで(笑)、ふつうに楽しくコミュ二ケーションを取っていた。
今回のお料理は、ご主人のアントニーが腕をふるってくれた。
イノシン肉を使ったジビエだという。
(アペリティフのあと、いよいよシェフが料理を振るまうために席を立つ)
(お皿に盛るカルメンとアントニー)
ところが、ここで面白いことが判明。
「イノシシ肉」ってスペイン語でなんていうの?
なんて会話がしていたところ、これはポークだ、とアントニー。
え?(°_°)
どうもイノシン肉だとは知らずにポークだと思って作っていたというアントニー(笑)
「言っただろ!イノシシって!」と、つめよるTさん。
「なんかおかしいと思ってたのよ」と奥さまのSさん。
「イノシシならもっと長く煮つめなきゃ」とセニョーラカルメン。
食卓はたちまち大爆笑のうず!
だけど、お味は絶品!
わたしはイノシシ肉は苦手だったのだけど、コニャックとプルーンで煮つめたお肉は柔らかく、臭みも飛んで、とてもイノシンとは思えない美味しさ。
笑いとおしゃべりとワインで、話しは弾み、すごく楽しいひとときを過ごせた。
Tさんとアントニーは、イギリスの学生時代から30年来の付き合いだという。
しかも、夫婦ともに。
こんな素敵な関係が続き、またわたしたちにまで、縁をつないでくれる。
こんな機会がない限り、「アンドラ」なんて国、知りもしなかったと思う。
としこさんの家には、老若男女の人が耐えなかった。
彼女は自然体でいつも微笑みながら、人を迎えてくれた。
亡きあとも、こうやって続く縁。
あの海辺の家は、としこさんのエネルギーが、細部に生きている気がした。