最後の取材

1年4ケ月。
これはわたしが某情報誌Eの制作に関わった月日だ。
月刊誌の特集ページ4pを丸投げされていたから、企画、構成、取材、原稿、情報収集、デザイン指示、カメラマンの指示まですべて1人でやっていた。
アシストするのは、担当の女の子ひとり。

「彼女が担当のSです。入社したばっかりなのでいろいろ教えてやって下さい」と、会議室で紹介されたコは、わたしに取っては、AKBか芦田愛菜か?というくらい の本当に"女の子"と呼ぶのふさわしいくらいの若いコだった。
この上、教育かい?!

ぺこりと頭を下げた彼女、実はこの情報誌の担当になることをその時、はじめて聞かされたのだという。
それどころか、情報誌がどうやって作られるかもまったく知らなかった。
いや、教えられてなかった。

今でこそ、わたしと軽口たたきあい、わ〜きゃ〜アニメ声で跳びはねている彼女だが、初対面ではガチガチの様子だった。

そりゃそうだろう、何も聞かされないまま、いきなり編集担当に決められ、年季の入ったオバさんライターの担当にさせられたんだから、さぞかし緊張しただろうよ。
わたしだって丸投げされた情報誌を
さあ、これからどうして行こうか?と思案している中で、まずは目の前の女のコに、1から教えることをしなければならなかった。

まず作り方から。
一つ一つを、こと細かに教えたあとで、で、担当のあんたの仕事はね…と指示していく。

「そうやって雑誌ってできるんでしゅかぁ〜?」
といちいち脳天から歓声を上げながら、それでも彼女は必死に、マメに、フットワークも軽く、時には暴走しながらも、楽しみながらも、覚えながら、よく着いて来たと思う。

今では恋バナをするほど親密になったけど、ここ最近の彼女を見ていると、本当に成長したな〜と感心するほど。
やっと育ち上がり、使えるようになったと思ったら、この情報誌、今月で打ち切りだという。

月刊誌だったし、えらい大変だったから、どこかでホッとしたものの、それにしても、彼女まで打ち切りとは!

こんないい人材を印刷工に回すというのだから、いったいあの会社は何を考えているのやら…??

そんな彼女、Mちゃんと一緒の最後の取材が昨日終わった。


「Mちゃんお疲れ様でした。これでMちゃんと最後の仕事ね〜」としみじみ言ったわたしに、即座に返した。

「いいえ最後じゃないです。校正がありますし、納品に伺いますので、またお会いできます!」とキッパリ!

ホント、よく育ったこと…!

まあ、この子に何かを伝えられただけでも、この情報誌をやった価値はあったかな?