突然の訃報

昨夜から「風の家」に入っていた。
一緒に来たのはドイツ人のT。
極寒の週末を田舎の家で過ごすにも勇気がいったので、一晩泊まって帰ろうと思っていた。
翌日、土曜日の朝、たっぷり寝坊をしてたら相方から起され、昨夜、Tのお父さんが亡くなったことを聞かされた。
驚いて飛び起き、Tを見たら哀しそうな薄い笑い顔をして立っていた。
「どうして?お父さん悪かったの?」と聞くと、首を横に振り、とても元気だったという。なぜ、突然亡くなったのかまだ死因はわからないという。
わたしの父は、余命3ケ月と宣告された。母もすでに手の尽くしようがないとも言われた。それぞれのとき、覚悟は決めていたはずだけど、それでもふたりが亡くなった時はショックでならなかった。
「親は死ぬんだ」とあたりまえのことを、あらためて感じた。
どんなに覚悟を決めてさえも哀しいのに、突然の死だ。しかも異国で聞くなんて、どんなに辛いだろう。
そう思うと気持ちが込み上げてきて、Tを力いっぱいハグした。
Tは戻るという。まずO市にそして、ドイツに。
さっそくTの相方のY子が今日中に帰れるよう手配したらしい。
わたしたちが車を出し、空港まで送って行くことにした。
一緒に送っていきたいという隣人のC子も乗せ、雪が降りしきる夕暮れ、空港まで相方が運転した。
夜8時の夜間飛行で羽田空港まで飛び、そこからパリに飛び、ベルリンへ。ベルリンから2時間電車に乗って、やっとお父さんの亡き骸に会うのだそうだ。
重苦しくなりがちな空気を車中では時々冗談言い合いながら、Tも笑顔だった。
共に食事をして、ドイツ人だけどもう昔からの友のようなTを、みんながもう一度ハグして別れた。


(相方のY子と別れを惜しむT)


「ありがとう、すぐに戻ってきます」とTは手を振っていつもの笑い顔で中に入って行った。

      

長い辛い旅になるだろうけど、T、またね。お父さんによろしく。