今日という一日

AM8:30〜
昨夜相方と校正した月刊誌の原稿を、チャリでデザイン事務所まで届けに行く。


AM9:30〜
今日からレギュラーの仕事で地方巡業。早くも迎えに来てくれたディレクターのIさんの車に乗り込む。外は曇り空。晴女のわたしとIさんがいて、やっと雨を押しとどめているよう。


AM11:00〜
午前中は酒蔵会社、午後からはスプリングの会社の社長に取材。中小企業の社長や店主に話しを聞きに行き、記事にするこの仕事は、毎回だけどすごく為になる。人知れず現場でがんばっている「地上の星たち」の生の声を聞けるのだから。本当に貴重だと思う。


PM3:00〜
取材先の茶房の店主はH市の町おこしの主要人物。亡くなったかの有名なキャスターとも深い交流があった方。さすがに話がおもしろく、つきない。おいしい、おいしいお団子をごちそうになる。


PM5:00〜
無事に取材を終え、帰路に着く。道中ホッとした空気が車内を包み、Iさん、デザイーナーのNさんと、よもやまばなしのおしゃべりが続く。外は雨。みるみる間にとっぷりと日が暮れ、まさに秋のつるべ落とし。


PM7:00〜
マンションに帰りつき、楽な服に着替えるなり、ソファに倒れ込む。昨夜の睡眠は5時間。さすがに眠い。しばし、くたーっとなっている。さて、と。重い身体を起こし、夕飯のしたくに取りかかる。冷蔵庫を開けて、残りものの材料で組み立てようと、メニューをあれこれ考える。
鶏だんごのスープ、キャベツと納豆のまぜまぜチャーハン、豆腐とワカメの酢味噌がけ、玉ねぎとトマトのサラダ、でいこうと決めた。


PM7:30〜
玄関で「ただいま〜」の声。おや、ドイツ人Sの早い帰宅。彼は今日、朝早く、現在の就職先に内緒で、東京にあるドイツの会社に面接を受けに行っていた。
「はやかったね〜。面接どうだった?」
「温泉入ってきたよ」
「(はなし、かみあってねー)って、どこの温泉?」
「すぐ近くの。ドンキで買い物もしてきた。これ、ドイツのピクルスおいしいよ。これは東京のおみやげ」
「そりゃ、どうも。で、面接、どうだった?」
「まあまあかな。11月中旬までに答えくれるって」
「(って、ことは11月中旬までアンタは居座るってことだね)受かるといいね、それで…」
「羽田で宮本武蔵展やってた。いいでしょう、コレ?」
あいかわらず人の話を聞かず、宮本武蔵の英語本を見せびらかして、ごきげん。面接が終わったのでホッとしているらしい。
「面接はどこで?」
「羽田でドイツから来たボスと会った。終わってそこから帰ってきた」
わざわざ東京に行って羽田に着いて一歩も外に出ず、そのままUターンして、近所の温泉に入ってごきげんで帰ってきたコイツは、やはり変わり者だ。類を呼ぶのか…


PM8:30〜
相方帰宅。夕飯はなんとか間に合う。「Sの面接、どうだった?」と相方も気になるようす。羽田からUターンした一部始終を話すと、「ぼくでも、そうするな。東京、別に興味ないし」。はいはい、キミらはよく似てるよ、そのへんは。夕飯、完食。


PM9:30〜
しばらく、どうでもいいTVをぼーっと二人で見る放電タイム。相方が録画していたアニメに切り替える頃、明日までに仕上げる原稿に掛かる。明日の夕方までに上げる原稿3つ。一つでも済ませておこうと、なんとかPCに向かう。だけど、まぶたが重くなり、うたたねをする。気付くと、相方もソファで撃沈している。


PM11:30〜
雑用を済まし、片付けをして、風呂に入る。相方は沈没中。Sの部屋からひーっひーっという笑い声。ビール飲みながらDVDを見ているらしい。


PM0:30〜
仕事は明日の朝に回し、今日は早めにベッドに入る。しばらく携帯で、ネットの記事をチェック。


AM1:00〜
気付いたら、携帯を握ったまま眠ってたみたい。なんかおなかが張ってガスがたまっている。小さな「プー」をするつもりが、思いの他デカい音がして、じぶんでも驚いた。寝込みを襲われた気の毒な相方が「くせぇーよう」と、うなったのがおかしくて、大笑いしたら、ツボにはまって笑いが止まらなくなった。ゲラゲラ笑いだしたら目が覚めたので携帯で原稿を書くことにして、カチカチやってたうちに眠ったようだ。

こんなおばかで平和な、だけど2度と来ない、今日という一日が、無事過ぎてゆくだけで、どんなにありがたいことか。
このおだやかな奇跡に、感謝してもしたりない。
ちなみに、寝ながら携帯に打った原稿は、朝おきたら、すべて消えていたけど…(泣)