S先生、今日決行!

えーー、本日は12月にしては非常に暖かい日でして。
朝、降っていた雨も上がり、お日様もときどき顔をのぞかせてまいりました。
大きなお世話だと思ったのですが、無謀なプロジェクトを掲げている私の恩師であるS先生様が、今日あたり決行なさるのではないかと、さぐりの携帯メールを入れたところ…
どうやらビンゴ!本人もそう思っていたようです。
ですが、あいにく今日S印刷の古株ディレクターK氏の奥様がお亡くなりになったという訃報が入り、夕方の通夜に行くので迷っている様子でした。
しかしながら、今日を逃すと来週からはまた寒くなるとのことで、半分だけでも今日実現しようと決心。
さきほど電話が入り、10時20分に出発したとのことで、現在大分川河畔を歩いているようです。
このプロジェクトを本人は内密にこそっと行いたいらしいのです。大げさにしたくないので、ごく親しい人だけしか知らず、仕事の関係者にはもちろん、家族にも詳しいことを知らせていないらしいのです。しかし、身近なわたしに知らせたが運のつき、つつしんで私がここに公表することにいたしました。
では、簡単にプロジェクトの内容を説明させていただきましょう。
それは、大分市の自宅から久住まで歩くというものらしいです。ただ、それだけです。
ええ、ええ、S氏はもう“アラ還”です。何のためにまた?と誰もがお思いでしょう。私も聞きましたがな。
が、答えは「ただ思いついたから」だそうです。
佐賀関から歩いた竜馬のマネでも、新たに大分を発見するためでも、己の体を鍛えるのでも、じぶんを見つめるためでも、神に出会う巡礼の旅でもないようです。
「ただ、思いついたから」
さすがのB型です。言葉がありません。興奮し、おもしろがっているのは、どうやら傍観者のわたしだけのようです。
事実、歩くための準備(前もってのウォーキング練習や、靴や服装を備えたり)もせず、ふだんの格好のまま水も弁当も小便袋も持たず、出発なさったようです。今日は行けるところまで行き、途中で車に迎えに来てもらい、残りを後日決行するそうです。
このへんの行きあたりばったりも、みごとB型としか言いようがありません。
先ほどは大分川に沿っているとの情報が入りました。今はどのあたりでしょう?
携帯から写メを送ってもらうようにメールしてみましょう。
お、11時40分、たった今、電話が入りました!メールにはメールで返さないのでは、律儀だからではなく「早く打ち切らんから」のようです。
おまけに電話口で返したお言葉は、なんということでしょう!
「写メをしきらん」とのことでした。
………。
さ、さすが、アラ還です。しかし、本人の息は荒くなってもせず、いたって軽やかに、「歩いて気持ちがいい」のとことです。ただし、足はだんだん股関節が痛むとのこと。
午前中が過ぎました。はたして、どこまで続くことやら……?願わくば救急車が向かわんことを祈るのみです。
次回、同じ日のブログで更新をご期待ください!


●中継 午後の部
午後になりました。お待たせいたしました。続報伝えさせていだきます。
先ほどPM1時に電話が入りました。まだ生き延びているようです。
現在、七々瀬川付近だという報告。まったく地元民でないと理解できないほどローカルな地名で申し訳ないのですが、そこは大分市から車で約40分ほど?の郊外な地です。
市内から2時間半で、そのあたりに辿り着いたとは意外と早いのではないでしょうか。本人もこの結果には満足そうです。
まだ、食事もとらず、トイレもせず、水のみで生き抜いているようです。
とりあえず、今日の終点は野津原町の役場に定めているのですが、このまま体力が続けば、次回のことを考え坂2つくらい登りたいとのコメントでした。
このペースで行けば、あるいは可能ではないかと思われますが、どうも小指のあたりに靴ずれを起こしたようで、そのあたりが多少心配です。
それにしても途中までのお迎えはS先生の奥方だそうですが、心配をかけまいという配慮か、理解されないだろうという危惧ゆえか(まあ、当然でしょうが)奥様には、ただ「迎え頼む」のみ告げているようです。
わけわからん状態で迎えに行った奥様が出くわすのは、へたり切った夫。夫がいったい何をしてきたかもわからん状態で「もしや、徘徊?」などと深い勘ぐりと心配をなさらなければいいのですが…。
おっと、早くも午後の部、第2報が入りました。
早々と目的地の町に入り、ただいま食事休憩をとっているようです。
昼食は、国道沿いの茶店で、たこ焼きと回転焼きとのこと。
さすが食に興味のないS氏らしい、にわかアスリートとは思えないメニューです。
足はまだ健在のようで、まだまだ続けられそうだと淡々と話しておりました。
お天気も、まだ持ちそうです。風もなく穏やかなこの日は、実にプロジェクト日和と申せましょう。
テキトーなことを書いておりますが、そろそろ、このあたりで中継を中断し、続報を待つことにいたしましょう。
尚、この中継を本人の断りもなく買って出たわたくしは、たいそうヒマ人のように思われるでしょうが決してそうではありません。
何をかくそうS先生に渡す原稿を抱えております。しかし、この一大イベントにどうして原稿など書いておられましょう。
断腸の想いで原稿書きを中段してもサポーターの皆さまに向けて、引き続き、中継を続けてまいります。
はたして、ラストまでたどり着けるか? 次回は感動のクライマックスシーンです!
続々報を乞うご期待!



●最終報告

午後3時半過ぎ。

なんと、早くも目的地の役場を通り過ぎ、当初の希望地である2つ目の坂までたどりつけたようです。
朝10時過ぎに出発し、約5時間足らずで、残念なことに…あ、いや、幸いなことに、何のトラブルもアクシデントもなく、
最終目的の半分まで歩き通したのはみごとと言うほかありません。
氏は意外とたんたんとしておりました。
「すべての行程を今日一日はやはり無理だったな」との感想を述べておりましたが、もし夕方通夜がなかったら、このまま最終地点の久住まで歩き通す気だったのでしょうか。その無謀さも、また、S先生の特徴であり、サポーターとしては、ハラハラワクワクだったような気がいたします。
今、疲れた体を休め、お迎えの奥様の車をお待ちになっているだろうS先生の胸に去来するものは5時間の道程の風景でしょうか?あるいは、次回の再びの決行日への計画でしょうか?
何はともあれ、今回のプロジェクトに対して、おしみない拍手と次回の最終地へのトライを祈って、現場より遠く離れた市街地のとあるマンションのぬくぬくとした一室より、中継を終わらせていただきます。
尚、再開のメドが立ちましたら、このブログで再びお報せしたいと思います。
氏へのエールを送られたい方は、ここに、どしどしコメントをお寄せください。リポーターであるわたくしが、必ずお伝えいたします。