こんにちわ〜


今週は土曜日にお客様がお見えになるので、その準備もかねて木曜日の夜から週末ハウス入りをしていたのだけど、さすがに田舎だなあ〜と気づいたことがあった。
近くのスーパーに買い物に行く途中、自転車を押しながら坂を上ってくる学校帰りの男子高校生がひとり。はあはあと少し苦しそうに上っていたが、すれちがいざまに、ぺこりと頭を下げ、小さく「こんにちわ」とつぶやいた。
とっさのことに驚き、頭を下げるしかできなかったけど、知り合いだったっけ?と考えていうちに、次はふたり連れの男子高校生と遭遇。
何やらふざけたり、しゃべりながら坂を上って来ていたけど、わたしとすれちがうなりピタリと話しを止め、ふたりとも口をそろえて、わたしの方をみると、「こんにちわー」のかけ声。
気づくと、ぞくぞく男子や女子の高校生が坂を上ってくる。坂を上りつめた場所には、総合運動場があり、テニスコートや馬場、弓道場もある関係なのだろう。みんな大きなスポーツバッグやラケットなどを抱えている。
その高校生の全員が、わたしとすれちがうとき、「こんにちわー」と声をかけてくるではないか。
女の子は元気よく、男の子は少してれながら。
これって、あいさつ運動? わたしらの頃にはなかったけどなー。見知らぬ人にいきなり「こんにちわ」と声をかけるのは勇気がいるだろう。だけど、かけられた方は悪い気はしない。いや、悪い気どころか、だんだんうれしくなって、こちらも笑顔で、声も大きく返していくほど。
不審者への犯罪防止のためなのか、コミュニケーションの練習のための「あいさつ運動」だろうが、それにしても今どきの子どもからは考えられないほど、素朴ですなおだなあーと感心。
こんな学生たちがいる町には、きっと犯罪や家庭内暴力など起こりっこないだろう。
…なんて甘いことは、さすがにこのご時世、思いもしないけど。
犯罪を犯す子なんて、みんないい子であいさつもよくするし…。隣ののどかな田舎町で、中学生の男の子が一家惨殺して、マスコミがこの静かな町までわんさか押しかけて来たのも、まだ記憶に新しい。
都会だろうと田舎だろうと、不良だろうがいい子だろうが、どこでもだれにでも、いつのまにか「魔」は、しのびよってくるものだ。
それが今は、ますます顕著にあらわれてくる時代だと思う。
だからこそ、そう、だからこそだ。こんなささやかな「こんにちわー」のかけ声は、大きなチカラになるのだと思う。
声をかけた方もかけられた方も、なんだか、ほっこりしてくるもの。それに、これができるのは、人口の少ない小さな町だからというのも事実なのだから。
せめて、すなおに声をかけている子どもたちに幸おおからんことを祈るばかり。