ビッグファミリー

 
(ここまで並ぶと壮観だなあ)  (休日に相方がせっせと焼いた食料)


ドイツ帰りの友人Y子とその相方のドイツ人T君との雑居生活を始めて、はや1ケ月近くになる。
と、言っても私はその間、ほとんど東京暮らし。私不在の間に3人の生活はできあがりつつあるようで、その中に入っていくのにはどうも気が引ける感じもした。まだ、慣れていないTとの昼間のふたり生活(相方とY子は外に仕事に、Tと私は共に書く仕事なので家にいる時間が多い)にちょっとまだ不安だったし。
東京に行く前に初めてふたりきりで昼間を過ごしたが、実はえらい疲れた。それも相手のせいではなく、自分自身の空回りのせいで。
Tはいたって自然体。ドイツ人というと四角四面を想像していたけれど、Tはゆるゆる、天然、マイペース、謙虚、で、かしこい。どことなく、うちの相方によく似たタイプ(謙虚でかしこいは別にして(笑)だったので、ホッとしていた。
なのに、テンパったのは私の方。
私は、私のために無理をされたり、予定を替えたり、きゅうくつな思いをしたり、がまんをされたりするのがいやな方で、かと言って、わがまま放題、やりたい放題、えらそー放題されるのもイヤな方(ようするにわがままな体質?)。
だけど、Tはそのどちらでもなく、自分のペースで好きにしながら相手のジャマをしないという、同居人にはとてもイイ感じのタイプだ。自分の置かれた状況に不満や欲を言わず、自分を適応させることで馴染んでいく。たぶん、ベルリンにいようが、九州の田舎にいようが、スーッと人や街や空間に溶け込んでいくんだろうと思う。そんなTを私は最初、読めずに、と言うか読むほどの余裕もなく、勝手に先回りして気付けば1人で右往左往していた。
例えば、部屋にコモっているTがおなかすいたんじゃないかと声をかけたり、日本の文化を知るにはテレビがいいからとずっと付けていたり、日本語覚えるためには、もっと会話しようと無理やり話題を作ったり、いつものようにグターッとリビングで寝転んだりとかできねー(いつ入ってくるかわからんし)とか思ってシャキッとしたり…(笑)、第一日目にそんなことをやったので、まあ、疲れるのはあたりまえだわな。
そんな自分だったけど、東京から帰って3日目。
不思議とTの存在が気にならなくなってきた。
Tは部屋にこもったり、日本語学校に行ったり、街に出たり。私は雑用をしたり、仕事をしたり、映画に行ったり、時には今日のようにお茶飲みながら、いろんな会話を辞書を片手に話したりして。いまでもブログ書いてる途中、リビングのドアを開けっぱなしでグターッと寝てたけど、それも気にならなくなってきた。気付けばTはいま、私のうしろで私がにぎっていた、おにぎりをおいしそうにムシャムシャと食べている。
ひとえにこれは、Tクンの天然マイペースのおかげだと思う。
夕方になるとY子が帰り、相方が帰り、にぎやかになる。食事は一緒だったり、別々だったり、まちまちだけど、それさえもなんとなく日常になってきた。兄妹の多い大家族ってこんな感じかなとも思う。
連休前の今夜はみんなで外に繰り出し、食事して映画を観る。何を観るか大健闘したけど、結局はあっさり、女子組と男子組に分かれてしまった。映画観たあとは私ら田舎の家へ、Y子たちはマンションへ。
思えば、東京からの帰りにうまくやれるかなーと心配する私に、相方は「そんなの慣れだよ、なれ。他人と住むとテレサは、もっと成長できるよー」と、テキトーなことを軽く言っていたけど(まあ、コイツもドイツ人だろうがマサイ族だろうが、ダレがいてもマイペースをくずさずに住めるんだろうけど)、3日目にして、まさにビッグファミリーとの生活に慣れつつあるようだ。
つくづく人間関係って、おもしろいなあと思う。