居候の効用

    
 (ドイツ土産の食料。エラい!)(相方のパンではない。正真正銘のドイツパン)


少し前から我が家には居候がいる。ドイツ帰りの友人Y子だ。
以前、仕事部屋だった部屋を両親の部屋にしたり、書庫にしたり、PCルームにしたりしていたが、Y子が2末月に帰ると聞いていたのもあって、ゲストルームを作っていたので、その部屋を宛がった。
文無しで帰国したらしい彼女は、ベッドと小さな机とクローゼットがあるだけの狭い部屋から、只今、バイトに通っている。
お金が回るまで当分、家賃や食費は我が家持ちで、その替わり住み込みのメイド(笑)として働いてもらっている。
相方とふたり生活に友人とは言え、「他人」が入ってくるのだ。さぞや気も使い、神経も使うのでは…などと言う心配はコイツにおいて、まったくと言ってない。
第一、この居候はなかなかふてぶてしい。朝は私が一仕事も二仕事も終わった後の9時過ぎあたりにのっそり起きてくる。私が朝食の準備をして差し出すのを手伝うわけでもなく、もそーっと寝起きの顔をしてじっと待っている。昼も同様だ。PCに向かったりして私が出したランチを「わーい、上げ膳下げ膳だあ」と言って食いやがる。もっとも、人にふるまうのがけっこう好きな私なので意外と楽しんでいたりもするのであまり、何も言えないんだけど…。
それに、ふてぶてしいのは何も居候だけでない。私ら夫婦も居候に対して気を使わなさ過ぎるかもしれない。
夜は午前2時あたりまで、居候が寝ているから静かにしようなどとも思わず、朝も6時半からバタバタ廊下を走り回る。相方も「若いお嬢さんがいるから(実はあんまり年は変わらない)」と気を使ったのは、わずか一日だけ。すぐに日常のパッチマン姿で平気になっている。
まあ、Y子とは相方よりも長い付き合いだし、相方と同居し始めた時も短期間だが狭いアパートで三人で過ごしたこともあったせいか、互いにほとんど家族感覚なのだろう。だからか、それぞれが好きにして、気を配りながらも、気を使い過ぎずにいられるこの距離感と空気感が私にはとても楽ちんなのだ。
いや、それ以上にY子が来てからの効用も多い。彼女には整理整頓清掃というとんでもない特技がある。だから、片付けや清掃をやってもらっているのだが、これが目を見張るほどの「仕事ぶり」なのだ。我が家に「松居和代」が来たと言っていい。彼女が手を入れるごとに、我が家の見慣れた雑然としたリビングとキッチンの風景がたちまち、美しい整然とした空間になってしまった。
風紀委員長のごとく、「引き出しはキチンと閉める、本は表面を合わせる、出さなくていいいものは目に付くところに出さない」など片付けの心得を聞いていると、なるほど…と納得し、気付けば実行したりしている。幸か不幸か相方と私は同じ体質なので、片付けに関しても、サボり具合にしても、コトの動き方にしてもユルユルなもんだから、こうゆうピシっとしたのが(一部だけど)生活に入って来ると、新しい風が部屋に吹いたようでいい意味での緊張感が湧き、生活も新鮮で、おまけに変化が面白くなってくる。
4月になるとY子の相方がドイツからやって来るという。
果たして4人雑居になるのか、はたまた、別所帯になるのか?
またまた異質の風がどんなに空気を変えて、自分たちをどう進化させてくれるのか…?
この実験的試みに期待と不安と、それ以上に楽しみ〜♪