まだまだ…なかなか…

一軒の家を整理するのが、ここまで困難とは思いもしなかった。
両親が上京して初めて、少しでも整理をしておこうと田舎の家に帰ったが、バタバタと出かけたために、まるで夜逃げでもしたかのように、日常生活のそっくりそのまま残っていた。その上、押入れやたんすは「捨てる」ことを知らない世代の両親たちが1世紀かけて溜めたんじゃないかと思うほどモノにあふれている。両親にしてみれば「もったいないモノ」だったり「思い出の品」だったりしても、自分らにしてみればハッキリ言ってゴミとガラクタでしかない。これらを目の前にして、相方とふたり呆然としてしまった。
片付けようにもどこから手を付けていいのかわからない。
四月の花見ができるくらいに片付けようとか思っていた私らが甘かった。家を引き受けると言ったのは自分らだから、今さらグチっても仕方がないけど、さて、これはどうしたものだろう。親が死んでいるならまだすべて処分すればいいが、生きているだけにやっかいだ。
少しずつ少しずつ分別しても今年いっぱいはかかるだろう。
ついでに親戚の大工の叔父に来てもらい、改造の相談に乗ってもらった。
取り合えずリビングダイニングをワンルームにしたいと思う私と、天井、床、窓に断熱材を入れてほしいと言う相方の優先順位が違ってはいたが、その両方と、プラス、ウッドデッキを付けてもらいたいという要望で、希望価格は100万(あ、あつかましい?)
親戚価格で、譲歩できるところを削れば何とかなるみたいだけど、昔の家だけに柱が邪魔したりしてけっこう難しいらしい。なんせ、部屋もチマチマしている。いい気が流れている土地でも、部屋が区切られて、モノが邪魔していればエネルギーも通らない。一部屋は壊して、二部屋はつなげたいけど、そこまですれば、さらに大金が必要となるしな〜(泣)
以前、カナダに行ったとき訪れた家はご主人がレンガ職人で、百年前の家に住みながらにして、数年かけてコツコツと少しずつ改造していた。壁をぶち抜いたり、またはくっつけたり、キッチンの設備機器をホームセンターで買って来て手作りのキッチンを作ったりしながら…。それが向こうじゃザラにあることらしいけど、そんなことを相方に求めても不可能というものだし。自分らにできるのは、できてせいぜいペンキ塗りくらいだ。
「夢のハウス」は遠いなあ…
とりあえずその日は、目に付いた生活のゴミ捨てで終わった。収穫は庭に咲いていた見事な水仙と、枯れかけていたシクラメンを救ったこと。
誰もいない家でも、何の手入れもしなくても、光と雨水さえあれば咲いてくれる庭の花たちを見てると、何とかこの地を生かしたいと思う。
まあ、自然の変化を愛でに行くつもりで、お弁当を持って、週末ごと少しずつ自分ら使用の家にしていくのも、楽しいかもしれないな。