プレゼンの立場

今日、営業マンから電話があった。
「すみません、プレゼン落ちちゃいました」電話の向こうでガックリと肩を落とす営業マン。
そりやそうだろうよ!と言いたいのをぐっとガマンして、「いえいえお力が足りませんで」と私。
「うちのは2位と3位だったらしいんですよ。取ったのはイラストが良かったらしいんです。そんな簡単なもんでイイですかね〜」
そりゃそうだろうよ、選ぶのは県庁のおっさんたちだもん。しょせんパっと見よ、パっと見がウケルに決まってんじゃん…と、言いたいところをぐっとガマン…せず、しっかり言ってやった!
それにしても毎回プレゼンやる度に、それぞれの立場がしっかりと見えてくる。
この営業マンはとにかく取ることだけに必死だから、テッテイ的に営業の立場を守り通す。彼はお役所担当だから、何度も県の立場に立ってモノを言う。
「いや、こういう案は県庁さんはきらいますねぇ〜」「そんなコピーは県にはちょっと飛びすぎていますよ」と、県の人より、お役所的考えだ。何度も深読みをして、県のネライはこうだと思うと考えすぎて今回のようにハズしてしまう。
一方、デザイナーと言えば、やはりビジュアル重視。
「この絵はインパクト弱いです」「ここに26文字の4行でリード入れていただけませんか」と、あくまでも完成した絵のバランスから、考える。
ライターである私はと言えば、どうせ通るかどうかわからないプレゼンなら、おおいに遊びたいと思う。県なら特に、だ。県の思惑なんか考えずに思いっきりクリエイティブしていたいと思う。
イイものを作るってよく言うけど、何がいいものなんか、人それぞれ違うんだから。せめてまっすぐにエネルギー出して満足のいくものを作りたい。それが通ればイイものになるんじゃないかなあ…。
そんなこんなで、さまざまな立場から今回の企画会議も喧々ごうごう!ああじゃねーこーじゃねーと言い合い、制作をする側のデザイナーと私は深夜までメールと電話で何度も打ち合わせては作り上げて行ったが、制作側だけが走りすぎるといつものように営業のストップがかかる。じわーっと「金払うのはこっちなんだぞ」的スタンスが見えて来る。だんだんこっちもモチベーションが低くなって来て、あんたがいいならいいけどサ的になって来る。まあ、営業は会社背負ってるから仕方ないんだろうけどね。
で、今回も例によって強引な営業の“県庁さん寄りの案”戦略で結果、負け。
電話もらっても驚きもせず、はいはい、やっぱね。
プレゼンって難しい。
だけど、たまに…本当にごく、たまーにだけど、違う立場から意見出し合った末に、最終的には同じ方向性で同じ船に乗ることが決まったとき、よっしゃー!みたいなキアイが入ってきて、その勢いで決まることがある。
そういう経験をしていると、百回に一回くらいの成功を夢見て、いや、その出来上がるまでの過程をまた体験したくてかな?次回にプレゼンが来れば、また、受けるんだろうなあ…