インゴ・ギュンターの不思議な世界

土曜の夜7時から、地元のデザイン協会主催で開催される「ワールドプロセッサー・インゴギュンター展」のオープニングパーティーに行った。
インゴ・ギュンター(Ingo Gunther)はドイツ人で現在N・Y在住のジャーナリスト兼アーティストだ。相方が何年か前に「Foresight」の表紙を飾っていた、と言っていたが、以前から地球儀でメッセージを表現しているらしい。
会場に並んだ48個の地球儀が表現するのは、まさに、ジャーナリスト兼アーティストならではの世界。
環境問題から、国際政治にいたるまでさまざまなメッセージを地球儀に盛り込んでいるのだけど、この地球儀が本来の姿を現すのは、夕暮れ、日が沈んでからだ。
会場には地元のクリエイター、建築家、アーティスト、協賛した企業人など、さまざまな面々がいたが、一通り挨拶を済ますと、一緒に行った相方とふたりで、会場が暗くなるのを待った。
ここからが、クライマックスだと聞いていたからだ。
少しずつ少しずつ日が沈む中で、地球儀が色を放ってくる。それぞれに形や色で表現されたメッセージは、まったく表情を変えて、美しいアートに変化する。
これは、すごいなと、驚き、ジーンと感動した。地球儀だけに、地球が愛おしくさえなってくる。
世界の真実を見せるジャーナリズム的視点ももちろん必要だけど、アートは静かに感性に訴えかける。
作家はこれを知っているのだろう。美しい地球が内包している問題をこんなカタチで浮かび上がらせてくるなんて。
アートは一見役には立たなそうだけど、こんな先の見えない混沌とした時代こそ、役に立たず、人の心にじわっと(それがたった一人でもいい)染み入るアートが必要なんじゃないかと思った。
がやがやと人の多い会場よりも、今度、もっとゆっくり一人で眺めてみたいと思う。