「風の家」は不思議な家だ。
なんだか、どんどん進化している。
まるで意思を持っているかのように、会いたい人に合わせ、起こしたいことを起こしてくれ、気持ちいい空間に育ち、
そして、わたしの想いをすべて叶えてくれる。
以前も書いたけど、この店を開くとき、夢がった。
それは強い想いではなく、淡い夢。
ぜったいに叶える!ではなく、いつか叶うといいな〜くらいの。
その一つの夢が、現在開催中の「ぱたんこ屋」さんこと、康子さんの展示会。
明日搬出で、これは大成功のうちに閉じようとしている。
人もたくさん来て、長居して、作品もよく売れてくれた。
この作品展が終わりかかっているとき、わたしの気持ちはすでに次に向かっていた。
次は…
湧いてきたのは、やはり、あの人。
憧れてやまない、モノづくりびとの「こばやしゆう」さん。
知らない人はまったく知らないけど、知っている人は知っている静岡県に住むアーティストだ。
アーティストと言っても、彼女の作品は美術館や、ギャラリーに飾るためではない。
ましてや売るためだけでもない。
生きるためのもの、だけ。
こんな空間に住みたい。で、つくる。
キッチン、ベッドルーム、椅子、机…
こんなものを食べたい。で、つくる。
パン、クッキー、サンドイッチ、スープ…
こんな道具が欲しい。で、つくる。
器、しゃもじ、スプーン、へら、花器…
こんなので遊びたい。で、つくる。
ブランコ、シーソー、お人形、オブジェ…
こんなものを身に着けたい。で、つくる。
ワンピース、パンツ、靴、バッグ…
こころに浮かんだものを現したい。
で、描く、書く、撮る。
絵を、文章を、写真を…
すべてのそれは、子どものように自由にそしてシンプルで美しい。
つくることは、ゆうさんにとって仕事であり、生活であり、人生であり、表現であり、そしてごくあたりまえのこと。
この人はわたしを知らない。「風の家」ももちろん知らない。
なら、知らせなきゃ。
来て欲しいって伝えなきゃ。
著書をたぐり、ブログを探り、見つけたメールアドレス。
ダメでもともと。まず動かないと始まらない。
こころを込めて、想いを伝えた。
「こんな片田舎のただの家だけど、あなたの作品を、人生を、生き方を伝えさせてほしい」と。
信じらないが、1週間後、返事が来た。
「こばやしゆうです」のタイトルに飛び上がった!
「メールありがとう。嬉しかったです。
日本の家は好きです。
展示会の誘いもありがとうございました。
ゆっくり話しあいながら進めていきましょう。」
この温かいメッセージに、わたしは悲鳴を上げ、飛び回り、近くにいたSちゃんにハグをし、友人に電話をしまくり、(何を言ってるかわからんかったと言われたが…)、涙した。
そんな舞い上がるわたしを相方は静めながら、
「まだ、これからなんだよ。よくコミュニケーションを取って、慎重に進めて行かなきゃ」と冷静に言いながら、それでも、
「会いに行って来なよ、フェイスツーフェイスが大切だよ」
と言ってくれた。
あの、こばやしゆうに会いに行ける。
あの、こばやしゆうが「風の家」に来てくれるかもしれない。
夢は叶うんだ。